労働者のストレスの現状
厚生労働省が実施する「労働者健康状況調査」(2007年)
労働者の58.0%が「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスがある」
就業形態別
- 一般社員61.8%
- 契約社員56.2%
- パートタイム労働者40.3%。
ストレスの原因
男性
- 仕事の質の問題
- 職場の人間関係の問題
- 仕事の量の問題
- 会社の将来性の問題
女性
- 職場の人間関係の問題
- 仕事の質の問題
- 仕事の量の問題
- 仕事への適正の問題
相談相手
相談できる相手がいる
- 男性87.4%
- 女性93.1%
相手の内訳
- 家族・友人(男性81.4%、女性91.2%)
- 上司・同僚(男性67.4%、女性62.8%)
メンタルヘルスケアの意義と重要性
心の健康問題の増加
ストレス過多が続くと、心身の健康障害が生じやすくなる。
2010年の独立行政法人労働政策研究・研修機構による「職場におけるメンタルヘルスケア対策に関する調査」
- 57%の事業所で心の健康問題を有する労働者がみられる。
- そのうち31.7%では3年前から人数が増加している。
- 過去1年間に心の健康問題により1ヶ月以上休職、または退職した労働者がいた事業者は25.8%。
心の問題が現れる原因
- 「本人の性格の問題」67.7%
- 「職場の人間関係」58.4%
- 「仕事量、負荷の増大」38.2%
- 「仕事の責任の増大」31.7%
心の健康問題の増加することによる問題点
- この10年ほどで多くの企業で「心の病」が増加傾向を続けていることが推測できる。
- 心の病を発症すると作業効率が低下する。
- 誰かが休養すると周囲の負担が増えたり、チームの成果が落ちたりする。
- チームの成果が落ちると、職場の雰囲気や活力も悪くなる。
厚生労働省の対策
2011年厚生労働省は、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病に「精神疾患」を加えて、五大疾病とする方針を打ち出している。
- 職場のうつ病、高齢化社会に伴う認知症の増加。
- 心の健康問題が国全体の取り組むべき課題。
- 地域医療の基本方針となる医療計画に盛り込むべき疾病。
自殺者数の増加と心の健康問題
- 日本の自殺者数は1998年に急増、2011年まで14年連続で3万人を超えた。
- 2012年は27858人だが、1997年以前に比べるとまだに高値。
- 2012年の被雇用者の自殺者数は、7421人(26.6%)。
自殺の原因
- 自殺はさまざまな原因からなる複雑な現象。
- 単一の原因で説明できるものではない。
- 大半の例では、精神健康面に問題があると指摘されている。
- 過労自殺例、労災認定例では、仕事に起因するストレスや過労を主因として、うつ病などの心の病を発症し、自殺に至ったとみなされている。
自殺対策基本法
- 2006年、自殺対策基本法が制定。
- 2007年には政府が推進すべき対策の指針をまとめた「自殺総合対策大綱」が策定。
- 同法は事業主に対して、国や地方自治体が実施する自殺対策に協力するとともに、労働者の心の健康の保持増進を図るよう求めている。
メンタルヘルス指針とセルフケア
- 職場には労働者の努力だけでは軽減できない困難なストレス要因がある。
- それを対策、計画、実施することは、経営層や管理監督者の役割。
- しかし、健康の保持増進にはセルフケアも不可欠。
- 同じようなストレス要因があっても、それによって健康障害を受けるかどうかは個人差があるから。
- 労働者一人ひとりがストレスから身を守るために実践できることも多い。
- 2006年の厚生労働省が公表した「労働者の心の健康の保持増進のための指針」では、具体的な4つの取組みの分類のひとつとして、セルフケアを掲げている。
何らかのメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所は増えている
2007年「労働者健康状況調査」:33.6%
↓
2010年労働政策研究・研修機構「職場におけるメンタルヘルスケア対策に関する調査」:50.4%
その実施内容
- 労働者からの相談対応窓口の整備:55.7%
- 管理監督者への教育研修・情報提供:51.0%
- 労働者への教育研修・情報提供:41.7%(←セルフケアにつながる)
セルフケアにつながる施策が3番目に多い。
労働者のストレスの現状関連ページ
- メンタルヘルスケアの方針と計画
- メンタルヘルスケアの方針と計画について紹介します。